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~致死措置、自殺幇助、治療の差し控え・中止、鎮静の概念~

aboutページにもありますが、ブログにも改めて概念まとめページを置いておきます。

日本における「安楽死を認めてほしい」という声の「安楽死」が意図するものは、安楽な最期を遂げるために専用の薬物を使用する「積極的安楽死」から、治療の差し控え・中止を指す「消極的安楽死」まで人によりさまざまと思われます。

☆世界的には、積極的安楽死、間接的安楽死、消極的安楽死のいずれも「尊厳死」と呼ぶ流れにあるようです。


致死措置(安楽死・積極的安楽死)

・患者の要請に従って、医師が直接薬物を投与すること。

・いわゆる積極的安楽死のひとつであるが、下記の自殺幇助と区別するためにこちらのみを安楽死・積極的安楽死と表現することもある。行為の主体として他人が関与し、主に自分自身ではもはや実行することのできなくなった患者に医師が直接手を施す。

・通常、医師がバルビツールを注射して就眠させてから、筋弛緩薬を投与する。

・現在、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ、オーストラリア(ビクトリア州)アメリカの一部の州、などで認められている。




医師による自殺幇助(PAS)

・患者の要請に従って、医師が致死量の薬物を処方して患者に渡すこと。

・いわゆる積極的安楽死のひとつ。最終的に患者自らが自分の体に薬物を投与する行為を行う。

・世界では致死薬を準備して患者の死を介助するのが医師だけでない場合もあることから、近年では「医療的幇助自殺」などと呼ばれることもある。

・通常は15g程度のバルビツール製剤を処方し、患者は処方された薬剤を服用することもあるし、結局しないこともある。

・1940年代にスイスが先駆的に法を整備した。現在、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ、オーストラリア(ビクトリア州)、スイス、ドイツ、アメリカの一部の州、などが認めている。




治療の差し控え・中止

・生命維持のための治療を最初からしないか、一度したものをやめること。

・多くの国で合法化されている。国内では、‟尊厳死” ‟消極的安楽死”といわれることがある。




鎮静(セデーション)

・治療抵抗性の終末期の苦痛を緩和するために患者の意識を低下すること。

・苦痛が緩和するだけの少量のドルミカム(ミダゾラム)を使用する。


持続的深い鎮静、または、死に向けた鎮静、または、間接的安楽死

・用途として確立してるわけではないが、従来の鎮静とは異なるとみなすほうがよい行為として、治療中止に伴う苦痛の予防としての鎮静、それほど死が迫っているわけではない患者の精神的な苦痛に対する鎮静があげられる。


参考文献:​森田達也「安楽死・自殺幇助と緩和ケアの接点」より引用編集




最終更新2022/10/13

MN


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持続的深い鎮静というルート

現在(2022年10月)、日本において合法的に実現可能な安楽死に近いひとつの手段として、「持続的深い鎮静」による間接的安楽死があります。 これは緩和ケアにおいてされる処置です。 通常、ガンなど特定の病気による終末期において患者の死期が確実に迫り、避けられない場合の苦痛の除去としてミダゾラムなどの鎮静薬が使われ、結果飲食不可となり麻酔を継続的にうたれたまま死に至るという過程を経ます。 最近は緩和ケア

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